ドイツで審判(レフェリー)活動を始めるには、まずはともあれ、地域協会(日本での関東協会などに相当)に連絡が必要ということで、ドイツに引越しをした1ヵ月後、2013年10月に地域協会にコンタクトを取りました。
地域協会のウェブサイトの問い合わせフォームから連絡をすると、2時間後には「数日以内にまた連絡をする。」との返信がメールであり幸先が良いように思えました。
しかしその後は、1週間経っても連絡がなく、1ヶ月経っても連絡がなく、都度状況は如何でしょうかと確認の連絡をするも返信がなく、英語で問い合わせしていたのがいけないのかと思いドイツ語に変えてみたり、電話で直接話をしたい旨メールを書いても返信がなく、、、。
12月になってようやく返信があり、「残念ながら管轄のKreis(クライス)協会が登録を躊躇している。他のKreis 協会にて登録できるように交渉中。いずれにせよ、Winterpause(ウィンターブレイク、ドイツ語発音ではヴィンターパウゼ)が終わる2月まで少なくとも待たなくてはならない。」との内容。
ドイツの行政区分は日本と異なり連邦制、州による区分で都道府県による区分ではないため、Kreis 協会をどう日本語に訳してよいのか悩みますが、サッカー協会に関しては日本でいう都道府県協会の位置付けに似ています。日本では地域協会があり、都道府県協会があるのと同じように、ドイツでは地域協会がいくつかのKreis 協会を管轄しています。ちなみに、州と地域協会の区分は完全に一致はしていません。ほぼ各州毎に1地域協会ですが、ノルトライン・ヴェストファーレン州、ラインラント・プファルツ州とバーデン・ヴュルテンベルク州の3 州には複数の地域協会が存在します。
さて、「躊躇している」とはどういうことか。地域協会の担当者に電話で状況を聞いたところによると、「ドイツ語を流暢に話せて書けなければレフェリーとしての活動に支障があると管轄Kreis 協会は考えており、それで登録手続きが進んでいない。別のKreis 協会に、レフェリー登録できないか交渉中。」とのことでした。
ドイツ語を流暢に話せて書けることは確かに望ましいし、それを目指すべきなのは確かにその通りで異論はありません。ただ、それを待っていてはすぐに活動を始められないということもあり、どのKreis 協会でも登録が完了するならまずそれでレフェリー活動を始めたいということで、地域協会に交渉を続けて頂くようお願いすることにしました。
ウィンターブレイクが終わり、3月に入ってもまだ連絡がないため、再度状況がどうかと連絡をし、3月下旬になってようやく、「体力テストと筆記テストを受けてほしい」と連絡がありました。どうやらこのテストは、新規登録講習会ではなく、地域協会所属のレフェリーが毎年受講している更新講習会のことで、それに参加してほしいとのことのようです。
更新講習会の様子も次回以降詳しくお伝えしたいと思いますが、4月上旬にテストを受けに行くと、「どのクラブに所属しているんだい?」と聞かれ、何のことだろうと質問の意図を明らかにしていくと、どうやらドイツではレフェリーとしてサッカー協会に登録する前に、どこかのクラブに所属する必要があるらしい、と分かりました。なお、ドイツでは、レフェリーは所属するクラブから、レフェリー用具を購入するための金銭的なサポートを受けることができます。これはレフェリーをサポートする各クラブがDFB (ドイツサッカー連盟)から金銭的なサポートを受けているからでもあります。
私のケースでは、登録されるKreis 協会がまだ決まっていないので、クラブへの登録を先に進めてよいものかという心配がありました。Kreis 協会管轄下のクラブに所属する必要があるからです。とはいえ、少しでも調査、手続きが進むようにと、テストから帰ってすぐに、レフェリーを募集しているクラブを探し始めました。
ウェブで「クラブ „Verein “」と「レフェリー募集中 „Schiedsrichter gesucht!“」のキーワード、自宅から行きやすい場所にあること、などを基準に検索をしました。結果、講習の2日後にはクラブを見つけ連絡を取り始めました。
クラブ探しをしている間に、Kreis 協会の講習会やアサインされる試合への行きやすさを考えると、やはり所属するKreis 協会は近いほうが理想的と思い、「このクラブに所属する手続きを進めているので、当初の予定通り、この町を管轄しているKreis 協会に登録させてほしい。」と再度地域協会に伝えました。
それから1ヶ月半以上経った5月末に連絡があり、6月15日に、「直接Kreis 協会審判委員会委員長に直接会って話をしよう。」ということになりました。どうやらこの日にKreis 協会での更新講習会があるようです。
Kreis 協会の更新講習会当日、地域協会審判委員会委員長が私をKreis 協会審判委員会委員長に紹介をしてくださいました。両審判委員会会長からのメッセージは「試合前のチームとの調整、試合の公式記録の記入、必要であれば試合後にレッドカードの状況の報告等、ドイツ語でのやりとりは必須である。」ということで、対して私からのメッセージは「それには異論がないことと、ドイツ語は既にコースに通っており、今後も継続して勉強していく。」という単純なものでしたが、登録を承認して頂けるということになりました。
2014年7月1日付でレフェリー登録が完了し、その後、2014/2015年シーズン前のテストマッチの割り当てを頂けるようになりました(地域協会に連絡を取り始めてからここまで約9ヶ月)。
テストマッチの間に気がついたのは、試合の公式記録は(DFB net と呼ばれる)オンラインで全て行う、ということ。そのシステムにログインするためのアカウントがないまま既にシーズンが始まってしまいましたが、当初は一緒に試合を担当する副審にログインしてもらいやり繰りをし、8月28日にアカウントができて自分でログインできるようになりました。これで実質的にレフェリー活動の準備ができた、と言えるところまで来ました(地域協会に連絡を取り始めてからここまで約11ヶ月)。
ちなみに、試合のアサイメントもこのDFB net を経由して行われます。
レフェリー登録手続きの最後に、DFB より発行される審判証を受け取ったのが10月1日。これで全てが揃いました(地域協会に連絡を取り始めてからここまで約1年)。この審判証を楽しみに待っていた理由があります。それは、この審判証をスタジアムで見せると、ドイツ国内の試合はブンデスリーガを含む全てと地域協会管轄のスタジアムでの開催される代表戦のチケットを無料で受け取ることができるからです。自分の担当する割り当て、その他の予定もあるので毎週スタジアムに行くことはできませんが、今後も予定があう限り、観戦研修としてスタジアムで試合を観るつもりでいます。